先日、担当しているある生徒からこんな質問が届いた。
曰く、この生徒が志願する業界には所謂 "ブラックな労働環境" が蔓延しており、その中から健全な環境を引き当てるか、経験を積んで独立する道があるのだという。
話を聞く内に、フリーランスは会社員からのステップアップである、という認識を持っているように感じた。
あくまでこれは私個人の見解でしかないが、必ずしもそうではないと考えている。
そもそもフリーランスとはどのような働き方なのか、会社員とはどう違うのか、という部分の認識は曖昧な場合が多い。
私はフリーランス歴だけでなく 業界歴、もっと言えば社会人歴すらも浅いが、今の自分が思っていることを吐き出してみる。
この生徒の志願する業界は、私と同様にIT関連の技術職だ。
これらの業種へ進む場合、経路としては、
などがイメージされやすい。特に近年のソフトウェアエンジニアの台頭により、後者からの就職はかなりの割合を占めるようになった。
中にはとても優秀な学生を輩出し続ける教育機関も当然存在し、ある学校の出身者ばかりの企業も少なくない。
IT関連という枠はかなり広いくくりなので、各業種へ細分化すると全く異なる事情がある。
ただし共通することとして、必ずしも品質の高い教育が受けられるとは限らないのが現状だ。
私も教育者の端くれながらに できるだけ実態に即したカリキュラムを目指しているが、これだけの期間続けても尚 やはり多くの障壁があり難しい、というのが正直な感想である。
そんな私はどのようにこの業界に入ったかというと、一切ITに関連する教育を受けておらず、完全に独学である。
もともと発達に多少の偏りがあった為に 学校へあまり行かず、自宅でコンピュータを触っているか病院に居るか、という生活をしていて、その後 通信制高校に在学中、あるスタートアップ企業でインターンとしてジョインしたのがきっかけで業界に入る、というパターンだ。
この項は記事の本題からズレてしまうので深くは追わないが、比較的新しい分野であること、技術の陳腐化が早いこと、要求される範囲が広く短期間で一様に習得する方法が確立されていないこと、学問と実務で大幅に抽象度が異なること、などさまざまな課題が複雑に絡んでいる。
少なくとも言えることは、進学を考える際には 自分が学びたいことが何かを明確にすべきであるということ。
職業訓練校としての教育を求めているなら、それに適切な実務能力を育成する学校が存在する。もしコンピュータサイエンスや理論を学びたいなら、それ相応の学校があるだろう。
これはスタートアップ企業で特に顕著に見られる傾向だが、IT関連技術職には、新卒 = 未経験者に対して要求される能力すらも とてつもなく高い場合がある。
が、当然ながら 現実にそれら企業の要求する能力に達した状態で社会人になる人間はほんの一握りである。
そもそも新卒採用をする理由は
などが存在し、よほど余剰リソースがない限り、本音を言えば新卒社員への教育なんてしている場合ではないのである。
では会社員になるメリットは何かというと、要は守られるのである。
この企業と求職者間のギャップと前述した職業能力育成の難しさが相まって、結果「放っといても育つ人材」だけが重宝されている現場は少なくない。
そして驚くことに「放っといても育つ人材」というのは実在している。
彼 / 彼女 らは高い職業能力を持っているが、本質はそこではないと感じている。多くに共通している特徴は、
などが挙げられるだろう。まさに願ったり叶ったりだ。
こういった能力を持った人物は、社会人になる以前から 何かしらの創作活動をしていることが多い印象を持っている。
ではそんな、いわば自律している 彼 / 彼女 らにとって、社員として組織に属するメリットはどの程度あるだろうか?
必要に応じて学習ができるため、給与を下げられてまで支援を受ける必要はない。日々十分に業務をこなし成果を出しているため、もともと収入は安定が見込める。
となると、同じ会社内の限られた領域で得られる知識に満足できるだろうか?毎日のように同じオフィスへ通いたいだろうか?
すなわち、フリーランス、個人事業主としての素質が高いのである。
彼 / 彼女 らがフリーランスとしての素質が高い理由は、その要求される能力にある。
企業が社員に対してしばしば行わざるを得ない様々な行為が不要になるのだ。
フリーランスの働き方の実態は、たとえばソフトウェアエンジニアの場合以下のようなものが大半だ:
実を言うと フリーランスという肩書を持ちながらも、会社員と同じように日々客先の事務所へ通い業務をこなしているケースはかなり多い。
そのような形態で仕事をしているフリーランスが 会社員と異なる点があるとしたら、
くらいだろうか。
会社員とフリーランスの関係はどちらが上位だとか下位だとかではないと考えている。
理由はごくシンプルに、その人物の適正に依存する部分が多いためだ。
フリーランスはしばしば「好きなことを仕事にしている」と言われがちだが、顧客相手の商売である限りは 会社員と大差ないことがわかる。
では何故それでもフリーランスの人間が「それなりに好きなことをしている」と言いがちというと、ここまで述べたとおり「物事 = 受託した仕事 の中から、何かしら自分にとっての面白さを見つけることができる」人物が多いからだ。
ではその能力はフリーランスだけのものだろうか?いや、会社員でも当然に持つことができ、日々の業務に活用できる能力だ。
実態としてソフトウェアエンジニアの現場では、フリーランス適正の高い人材が強く求められた結果、能力の高い人材が いわばフリーエージェント状態になっている。
著名なソフトウェアエンジニアが業界内で頻繁に転職を繰り返しており、会社員でありながら個人そのものに高いブランド価値が着いているのだ。
そしてフリーランスというのは、しばしば弱い立場になりがちである。あくまで企業にとってはゲスト、外注業者でしかなく、コアな意思決定や事業領域(ドメイン部分)に関わる業務には携われない場合が多く、状況が変われば不要になる、交換可能な部品である場合が多いのだ。
そしてそれは効率の良い正しい経営判断によって発生するものであり、我々は自らその市場を選んでいるのである。
盲目的にフリーランスを目指したり、逆に難しそうだという理由だけで会社員のままでいるのは必ずしも正しいとは言えない。
重要なのは、自身はどのような働き方に適正があるか、または目指す先に必要な能力は何かを見極める力だと思う。
とはいえまあ、過酷な労働環境から抜け出すための独立、という選択肢はアリだ。
その日までに、学生の内からトレーニングできることはなんだろうか。
「彼 / 彼女 ら」という言い方だと男女に限定される感じがあってイヤなんですけど、なんかジェンダーフリーな書き方ないすか
— アイコン変えたい (@shuma_yoshioka) January 30, 2019
そこの人々は〜とかですかね…身近なヒト、難しいですねぇ。身近なと言われて真っ先に浮かんだのは"奴ら"なのですがこれでは近すぎるというかまた別な表現になってしまいますよね笑
— 加 須゙機゙ (@huashi08) January 30, 2019
やつら
— お茶漬け (@4lionfighter) January 30, 2019
あいつ、あいつら!
— みつおじさん (@Mitsuo_Me) January 30, 2019
やつらって表現、わりとしっくり来るしぜひ使いたいところだが、
— アイコン変えたい (@shuma_yoshioka) January 30, 2019
いまやってる文章中で使うとお前何様やねんって言われてしまうのじゃ
なお、この吐き出し記事に着地点はないです。